俺「もう三橋には飽きたから俺出てくよ」

このエントリーをはてなブックマークに追加
413偽りの螺旋・田島の場合 代理
*

7月20日(日)曇り
マグカップを買いに行った。レンと一緒に。
帰り掛けに野球ボールが欲しいとレンが言い出したので買ってやった。
夕方、キャッチボールをした。義務教育以来だ。レンが結構上手くて悔しい。
夕飯は冷シャブだった。うまい。

**

「俺、今日16歳になったー!!」
扉が壊れんばかりの勢いで開き、田島が入ってきた。
「お、おめでとう!」「おめでとう」「おめでとう」
愛玩人達が祝福の言葉を贈る。
「あんがとー!!」
いい加減この工房でお馴染みになった顔だが、営業時間中に来るのは久々だな。
「でさ、でさっ!俺、レンに筆下ろしして欲しいんだよねー!」
キラッキラの笑顔でレンの手を握る田島の顔に俺は手近にあった輪ゴムを飛ばして当てた。
「いちっ!何すんだよー」
「何すんだじゃない。性行為したいんだったら、そういう店に行って来い。
ここは愛玩人の注文制作販売の店でそーゆー店じゃない」
俺の言葉に田島は唇を突き出して文句を言う。
「いーじゃん、減るもんじゃないし」
「減るわいっ!」
ふーと肩を竦めて溜め息を吐くリアクションを取る。
「なんだよ、兄ちゃんが工房じゃ、エッチさせてくれるって言ってたよ」
「あー、確かにそうだよ。だがそれはだな、買う気のある相手だけだ。
お前みたいに最初から無料で性欲処理しようってのは、お客様でもなんでもないんだよ」
お茶を用意してきたルリに、コイツに出す必要はないと、ジェスチャーで追い返す。
「只じゃないよ、ほら、これ!」
と、差し出されたのはお馴染みの野菜の数々だ。うひっと笑ってレンが受け取る。
「わ、あ!あ、ありがとう!田島君っ!」