小田島(エロ無し)にするかどうかで一晩悩んだ。
*
気持ちの良い昼下がり、今日は客も少なくて、俺は客用ソファの上で転寝をしていた。
キキキッドカーン!
突然の衝突音と振動で俺の眠りは破られた。
「な、なにっ!?」
傍で遊んでたレンがオロオロと辺りを見回す。
飛び上がって目覚めた俺も、伸びをして、頭を振る。
ぼんやりしていた頭がはっきりする頃、親方がドタドタ奥から出てきた。
「交通事故っぽいなっ」
「へぇ」
親方はチヨとそのまま野次馬をしに外へ出て行った。
「なに、交通事故って?」
あぁ〜、欠伸とも返事ともつかない言葉で返事して、外へ連れ出す。
説明するのは面倒だったので、俺達も野次馬を誌に行く事にした。
うちの店から30メートルも離れていない場所に、現場はあった。
近所の人達も野次馬に出て来ている。その中に親方は……あ、いた。
現場の中心で停まっているオートエアの横で青い顔をした女性を介抱している。
が、どう見ても、それは加害者だろう。
親方のすぐ傍の地面で倒れているうつ伏せ少年の頭から血が出ている。少年……だよなあ?若い格好したオッサンじゃないよな?
「おいっ、佐藤さん、ちょっと見てやれよ」
隣店の店主が俺に声を掛ける。
うちの店の屋号は佐藤愛玩人工房と言うので、店員その他も佐藤さんと呼ばれる事がある。
しかし、この場に本物の佐藤さんたる親方がいるのに、何で俺なんだよ。
「え、叶さんは?」
近くにある叶診療所にもう連絡済みかと思ってたら、
「忘れたのかい?叶さんとこは今週いっぱい学会行っててお休みじゃないか」
「ああー忘れてた!でも、救急車は!?」
「なに言ってんの、アンタだって診れるんだから、そんなの待つよりさっさと治してあげなよ」
えええええ。親方だろ、まず最初に!
親方を見ると、俺はこのお嬢さんの介抱しなきゃと言う笑顔を返してくれた。