海の近くのコンビニでおにぎりとサンドイッチ、お茶を買って砂浜に戻った。
朝早い時間だし、こんな場所だから季節外れの今はお客さんが少ないのかコンビニにオレたち以外人の姿はなかった。
阿部君は大丈夫だって何度も言うけど、やっぱり心のどこかで人目につきたくないなって思いもあったから安心。
コンビニの中でも、砂浜へ戻る途中も阿部君と指を絡ませっぱなし。
こんなに長い時間手を繋ぐのは初めてだったから、安心と一緒にほんの少し緊張。
時々指の隙間をすられたりするとくすぐったくてたまらない。
砂浜に戻ってからはまたサンダルを阿部君に脱がしてもらう。
裸足、すごく楽チンだ。
「もう勝手に走んじゃねーぞ」
阿部君は怒ったふうにいったけど、サンダルの紐を解いてすぐ手を握り直されたら逃げることなんてできるはずない。
「うん、お腹減ったっ」
「……まーいいけどさ。んじゃ食おうぜ、このへんでいいか」
あんまり波打ち際は濡れちゃうといけないし、かといって離れすぎてても海が遠くなる。
近くも遠くもない中間ぐらいの距離、二人の足跡だけがぽつぽつ繋がってる砂浜に腰を降ろしてコンビニの袋をあけた。
むこうでは見たことない地域限定のやつとか、どんな味がするのか楽しみ。
「三橋どっちがい……ってそうか、両方だよなお前の場合」
「う……」
きょろきょろと目が左右に動く。
朝、服を選ぶのにどっちって聞かれた時はすぐ答えられたのに、今度のはだめだ。
どっちも地域限定のやつで、うまそうっ。