>>380 ※愛憎阿部棒にしてみた
「じゃーな!三橋気をつけて帰れよ!あ、明日うちで採れたスイカ差し入れすっから!」
いつもの部活帰り、最後に道が分かれる田島君が大きな声で手を振ってくれた。
おれはそれに応えて田島くんの自転車のライトが、夜に溶けてしまうまで見送った。
行かないで
本当は毎日毎日喉元まで出かかってはグッと我慢して飲み込んでいる言葉を、
今日もまた溜まっていく濾過できない黒いもののようにお腹の奥に溜め込む。
背後から足音が近づいてくる。
「三橋、いつもんとこ行くぞ」
震えていることを悟られないように、ゆっくりと振り返った。
阿部君の声も視線も、昼間より何度も低い冷たさで、おれは心底怖くなる。
さっきまで普通に俺の球を受けてくれて、普通に雑談もしていた。
だから部活の時も寄り道の時も、俺は阿部君が二重人格なんじゃないかって疑う。
それとも、今日こそはいつもの「アレ」は止めてくれるんじゃないかと期待して
結局毎晩、その希望が叶わなかったことに絶望して阿部君についていってしまう。
公園のチカチカした電灯に羽虫がたくさんたかっている。
酔いつぶれたサラリーマンのおじさんがベンチで寝ているだけで他に人はいない。
>>468 逃げるっていう選択肢はおれの中には一度も浮かばなかった。
つないで引かれる手の感触は、これからされることが嘘みたいに温かくて優しい。
こんな小さなことに期待をしてしまうバカだから、おれはいつもショックを受けるのかな?
でもこんな関係になってしまう前まで、たぶん今も。
おれは心の深いところで他の好きとは違う特別で、阿部君が好きなんだ。
トイレの個室に連れ込まれて、何も言わずに阿部君がおれのベルトをはずして
ズボンを膝下まで下着ごと落とす。
「入れるから後ろ向けよ」
おれは逆らうつもりなんてないのに(逆らっても無駄だってわかりきってるのに)
腕を掴まれて体をひねられるみたいに倒されて便器のふたに手を付く。
少し低い場所に両手を付くと、狭い空間の中ですぐ後ろにいる阿部君に
高くお尻を突き出しているみたいで、本能で屈辱的な気分になる。
おれが阿部君のことを好きになるようなホモで変態でも、
やっぱり男なのに女みたいなことをされるのは恥ずかしい。
矛盾してるけどどっちも本当の気持ちだから頭がぐるぐるする。
「あべ、君」
「何?」
おれから表情は見えないけれど、きっと作業をこなすみたいに無機質な声。
恋人同士がセックスをするような雰囲気じゃないのは確かだった。
とろとろしたハンドクリームを、左右に大きく割られたお尻に垂らされて
それを指で穴のところの周りにのばしながら唐突に差し入れられる。
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また書いてからくる