いつのまにか隣の部屋に用意されていた夕食は、なんかとにかくすごかった。
当たり前なんだけど部屋も豪華だと食事も豪華。
こーいうのってお正月とかで群馬に行った時くらいしか食べれないのに。
三年間、身についた癖、っていうのかな、それとも習慣?
二人一緒に「うまそうっ」をやってからお箸を並べられた料理に伸ばした。
どれもこれも舌がとろけてしまいそうな味。
夢中でがっついてるうちに向かいの阿部君に「食べかすついてる」って言われて、口の端を舐められた。
でも阿部君の口の端にも食べかすついてたから、オレもぱくってして、そうしているうちにちゅうちゅう吸いあうみたいになった。
阿部君とキスしてるの、気持ちいい、やめたくない。
でもすぐ横においしそーなご飯がまだまだたくさんあって思わず鼻がひくつく。
息継ぎでねちょねちょした唇を離す。
唾液、じゃなくて涎、か。
やっぱり食意地はってるんだな、オレって。
目線がちろちろ動いてるのに阿部君が気付いて阿部君に額をこつんてされた。
「食いながらしよっか」