>>733 ここまで
結局田島の強硬手段によって、どうにか全員練習遅刻は避けられそうだった。
元通り服を着た三橋は、おずおずと一枚の紙を差し出す。これを見せなければならない。
「あの、あっ、あ」
経験上、三橋が「あ」の音を発する時は大抵自分が呼ばれている。阿部は黙って三橋に近寄り、それを受け取った。
他の者も何人か、阿部の手元を覗き込む。
「何だこれ、スコアボードのどアップ?」
「映像取り込んで印刷したっぽいね、三橋がやったの?」
「う、ううん。オレの 机、入ってたっ」
夏大会では、テレビ中継されていた試合もあったが。
不鮮明な画像に、みな首を傾げる。
「あ、裏になんか書いてあるよ」
紙をひっくり返して、一同は息を呑んだ。
方々から引っ張り、小さな声で文字を読み上げる。気の弱い者の表情は、たちまち引きつった。
「な…何コレ、呪いとか、なに!」
「机に入ってたって、誰だよ気持ち悪ィ!」
このチームには、気にすんなと笑って三橋の肩を叩くだろう者も、怒って犯人探しに燃えそうな者もいる。
だがそれは、普段ならばの話だ。
変な連帯感を持ち、青い傷探しを無理に面白がろうとした。
核心を突く疑問を漏らせば不安がどんどん膨れ上がりそうで、今まで誰もが口をつぐんでいた。
どうやってついたのだろう、この傷は。
魂 ここのつ 生贄
それぞれ最も馴染んだ数字でされた、呪詛のナンバリング。
そしてその中、惨殺の宣告を受けたのは、三橋。