三橋「お、俺君の、早漏っ!」

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724碧い鎖 ◆r2YHExa9lY
ホラーぽいので注意、エロくなくて注意、長くなりそう注意、わっほい


【1】
昼休み。
1年7組の教室では、早々に食事を終えた花井と阿部が、今日の夕練について軽く打ち合わせていた。
秋季大会も終わり、シーズンオフに入っているとはいえ、野球部は相変わらず毎朝毎晩、練習漬けの日々を送っている。

ふと、花井は左足すねの内側あたりに手をやった。
靴下をめくって、顔をしかめる。
「なに、ケガ?」
夏以来、すっかり怪我に敏感になってしまった阿部が問いかけた。
「あー、いや、別に痛かねぇけど、朝から気になんだよ。むず痒いっつか」
阿部が覗き見ると、そこには1cmほどの長さの細く青い線がいくつも、まるでバーコードのように整列している。
「何だそれ、打ったのか?」
確かに新しい内出血の色に似た青緑色だが、1本1本の幅がせいぜい1mm、こんなに細い打ち身の痣は二人とも見たことがない。
表面が盛り上がっているわけでもなく、痣や傷というよりは、表皮の下に色素を入れた刺青のような状態に思える。

「あっ、花井も!?」
寄ってきたのは、もう一人同じクラスの部員、水谷だった。
「オレもオレも、見てよー」
水谷がシャツをまくり上げ、胸の下あたりに貼った絆創膏を取ると、花井と全く同じ青い線が現れた。
何だろう、カブレかなぁなどと言って眉を下げ、こんなカブレがあるかと花井に呆れられている。
「…なんか、気持ちわりーな」
二人の傷を見ていた阿部が、ぼそりと呟いた。
その言い草に、水谷が文句を言う。
「ちげーよ。お前ら、本数数えてみろ」
訝しみつつ、花井と水谷は傷をなぞった。