阿部君と旅行に出かけることになった。
周りには卒業旅行だなんて言って誤魔化してあるけど、本当はオレたち恋人同士だったりする。
……で、間違いないんだよね。
ちょっと自信ないけど、阿部君も今回の旅行はすごく楽しみにしてくれてて、それが嬉しい。
旅行もなんだけど、阿部君が嬉しそうにしてくれてるのが一番好きだ。
オレたちは男同士だからおおっぴらに恋人同士らしくいちゃついたりはできない。
いつ誰に見られるかわかんないし、メントレの一種として手を繋ぐぐらいの触れ合いが精一杯だった。
それも四六時中ってわけじゃなくて、だから「旅行の間はずっと二人きりだな」なんて阿部君がにっと笑った時どきっとした。
二人きり。