>>331 田島なら三橋もつれてくるな
スイカ運ぶの手伝ってくれって三橋にそっと言って二人っきりになるんだ
さっきタライから出したばかりのスイカに包丁を入れると、蒸し暑い台所に涼しげな音が響いた。
「あま、そう…!」
鮮やかな赤い果肉に目を奪われた子三橋に、俺は皿を持ってくるように言った。
半ズボンに白いタンクトップ―いや、肌着か―の三橋が背をむける。
さっきまで水をあびていたためにところどころ肌の色が透けている。細い首に、汗が一粒浮いている。
俺はひとかけらだけ小分けに切り分けたスイカを手に、子三橋を呼んだ。
危なっかしく大皿を手にした三橋がとてとて寄ってくる。
「皿はこっち置いて。味見をさせてあげよう」
喜色が浮かんだ三橋が手を出す。それを無視して、俺は三橋の口元に赤くスイカの先端を押し当てた。
三橋は一瞬戸惑ったが、従順にくちを開けた。シャク。白い歯の粒がスイカに歯を立てる。ちらりと舌がのぞく。
果汁がひとしずく、口の端からあごに向けて垂れていく。
俺は拭おうとする三橋の小さく白い手を掴み、喉の渇きを癒すようにその甘い果汁を舐め上げた。