そんな表情のまま、青年は少年の手を握った。
ぴくっと少しだけ体が跳ねるが、少年はすぐに心を許す。
青年は、ゆっくりと少年を手を引いて、押し入れの前にやってくた。
「いいもの、見せてやるよ」
そして、青年はふすまを開ける。
「わっ!」
「誕生日だからな。プレゼントの代わりに、俺の秘密を教えてやる」
「これ……」
「安心しろ。別に馬鹿やったわけじゃないから」
驚く少年に、青年は軽い口調で言う。
少年は口をあんぐりとし、じーっと押し入れの中を眺めている。
青年は「終わり終わり」とふすまを閉めた。
「俺に何かあったら、これは全部お前にやるよ」
「えっ……」
「きっと全部は使い切れない」
青年の言葉に、少年は少し暗くなった。
少年は、青年が淋しく笑っているのに、気付いてしまった。
しかし、どうしてそんな表情をしているのか、少年はわからないでいた。
少年は青年を見つめる。
そんな少年の唇を、青年は軽くなぞる。
青年は、少年に唇を重ねた。