阿部「行くぞ!1、2、3、ダアッー!」

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967fusianasan
サハリンからハバロフスクへ、俺と三橋の逃亡生活は続く。

「ウォッカ!」
厳しい誰何の声。俺は答えず銃を向け、引き金を弾く。
「プーチン!」
悲鳴をあげて倒れる追っ手の体を跨ぎ、俺は走る。
しっかりと繋いだ三橋の手が震えている。無理もない。

シベリア超特急に滑り込み、片隅で食事を貪る俺と三橋。

「ど どこまで 逃げれば いいのか な」

ピロシキを頬張りながら、窓の向こう――寒々しい田野を見詰めて三橋が呟く。

俺に答えとして紡ぐべき言葉がない。
ただ、拳銃の手入れを続けるだけだ。