俺は自他共に認める稀代のイケメン。今まで数々の女から金を奪ってくれた。
一晩セックスすれば大抵の女は俺に夢中になる。彼女達を本気にさせるのはそれで十分なんだが、
結婚まで漕ぎ着けるには事前に作っといた名刺が必要だ。もちろん偽名だ。
俺は結婚する気なんてさらさらなかった。適当に女作って金を騙し取って毎日を過ごす、これでいいじゃない。そう思っていた。
あいつに会うまでは…
その日俺は新しいターゲットの女とラブホテルに入った。廊下で清掃服を着た男と目が会った。それが三橋廉だった。
女が「やだ…あんな若い子、こんな所で雇っちゃダメよ」と囁いた。
確かに、客としてはいい気分ではないな。この男は俺たちの方をチラチラ見ていた。
「じろじろ見るなよボクちゃん」
男は顔を赤く染め「す、すみません…」と小さな声で謝った。
そぐわないな。長年の勘でこいつが奥手なのがわかった。きっと童貞だろう。
俺は女を何度もイカせた。女は獣のように鳴いた。何故か俺の頭の中でさっきの男の表情が浮かぶ。
俺のターゲットは結婚適齢期の女達で、ああいう初々しい女は随分抱いてないな。
処女を抱きたい。そんな欲求が湧いてきた。