阿部「行くぞ!1、2、3、ダアッー!」

このエントリーをはてなブックマークに追加
435二人称ネタ
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1214492968/203,216,277,295,301,310

今日の通学路もいつもにまして人気が少ない。
それはあなたが昨日に引き続き早すぎる時間に登校しているからだ。
普段より、はやい時刻。空気は軽くさらりと流れる。
ひげを剃った後のひりついたあなたの鼻の下を、シャツにまかれた乾いた脇の下を、太いくるぶしを透かしていく。

ぱすん、

耳慣れた音があなたを向かえる。

「よお!」

あなたは投手に向けて手を振る。
その手が下ろされるのに合わせて、投手があなたを振り返る。

「よー!また、早いな!」

「そっちこそ。また、眠れなかったのか?」

フェンスの割れ目をくぐり、投手に近づきながら、ふとあなたは不審に思う。
こいつは自分に課せられた投球制限をオーバーしているんではないか。
そのことを隠すために早朝、一人きりの時間を作り出したのではないか。

一瞬でそんな想像があなたの頭に沸き立つ。
しかし次の一瞬には消えている。いくらなんでもそれくらいはできるだろう。
自制、自己管理。自己把握。自己認識。自己、克己。

はーっと投手は足下に向かって息を吐く。
キャップを取り、握った拳で額の汗を拭き取る。