http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1214492968/721のお題頂戴しました 書くの遅くてすまなんだあああああああああ
「田島ぁ 何、その花柄タオルぅ 母ちゃんの借りてきたのー」
「へっへー いーだろ 同じクラスのクミちゃんに貰った」
皆の目が田島君に集中する。狭い部室の中、チョッとざわついた。
話を振った水谷君はしまったと言う顔をしつつも口をとんがらかせて言葉を返した。
「お 俺だってこの前タオルも貰ったもんね」
「へー 良かったじゃん」田島君は水谷君の言葉を素直に受け止めていたけど皆はクスクス笑っていた。
「結構あんのね、そういうの 俺そういうの無縁でサー 三橋はどうなの? 可愛い従姉弟の子いたじゃん」
栄口君の話しがオレの頭上に急に来たのでオレはびびった。ルリの事?ルリは・・・
「こ 怖い よ ルリは」
「へールリちゃんって言うんだ いいよなー 桐青戦の時応援に来てくれていたじゃないか 俺頑張り足りないのかなぁ」
「いくない ルリすぐ怒るし」
栄口君はオレの顔を見ると苦笑いしながらフウと溜息を付いた。
「三橋ぃ青いよ、ぐずぐずしていると置いて行かれるぜ」
オレは何を言われたのかサッパリ分らなかったけど、後ろから頑張れよーとかこれからだぜーって肩を叩かれた。
好きな女の子や特定の子はマダいないけど、オレだって女の子好きだよ、可愛いし。
ただ、それはルリじゃないだけだ。釈然としないままオレは汚れた練習着をバッグに丸め込んだ。
「うぉっと クミちゃんのタオルで思い出した 俺、三橋の分も預っていたんだった」田島君がやおらバッグをまさぐる。
同時に部室に「何ぃー」の大音響が鳴り響いた。オレはドキドキが止らなくなってへたり込んだ。
「ちょ 何で三橋 どうして三橋 何ゆえ三橋?」
「花井落ち着け、そんなに大きな事じゃないぞ お前だって何か貰っているんじゃ」
泉君の言葉が終らない内に田島君が割って入った。
「泉には練習前に渡してあったよな 俺忘れっぽいからなー」
「あー 田島余計な事を」「えー何、9組そういうの有り?」「えっ お前女の子の友達くらいいるんだろ」「メル友なら」
「ふつーに貰いモンすんだろ」「ちょ何その格差社会」「中坊ん時からの付き合いだから」「帰り道のCD屋でばったり」
・・・カオスになった。
田島君が手招きしてリボンの掛かった白い包みをオレに手渡してくれた。
「クミちゃんの友達だってさエミちゃんって言ったかな?付き合いとか別にしてお礼はちゃんとしておいてくれよな」
オレは頷いてそれを受け取った。 オレはホンワリした感じを胸にカオスな部室を抜け出した。
>>932 誰もいなくなった教室は暗くひんやりとしていた。
オレは自分の机の中に1枚のプリントを手探りに探し当てた。あったぁー 良かった。これが無いとお母さんに怒られる所だった。
これからコンビニに行ったら皆いるかな?
さっきの話の続きしていたらチョッと嫌だな、でも1人で食べるよりも皆と食べた方が断然いいな
オレはバッグを袈裟懸けにして教室を出ようとした。不意に冷たい指が首に触れた。くぐもった声で後ろから声がした。
「騒ぐなよ、お前」
何かフィルターを通しているような声だった。首に更に金属みたいなものを当てられた。どうしよう、誰か助けて。
「お前何しにココに来た?」こもった声が問いかける。
「オ オレ 忘れ物を取りに」こんな遅い時間にか?底知れぬ声にオレは震えて答えられなかった。
皆はもう部室にはいないだろう。ここから皆の所へは遠すぎる。オレが動けないでいると、小さなあかりが裾広がりに灯った。
懐中電灯のようだ、オレの背中を灯している。
「男だが、まあいいだろう サイズも問題無さそうだ」
オレは意味が判らなかったが聞き返せるだけの度胸は無かった。
男はオレの後ろでごそごそしていたかと思うとオレの前にビニールの包みを目の前に置いた。
「それに着替えろ、校舎には仲間がいる、逃げられると思うなよ」
懐中電灯に照らされたビニールの中には夏服のセーラー服が入れられていた。
「こ、これ女物・・・」
「刺されたくなきゃさっさと着な」
懐中電灯の僅かな光がオレと男を照らし出す。暗くて年齢は分らない。
顔は目のところを開けた紙袋を被っていた。オレは指の震えにもたつきながらスカート履きセーラー襟のブラウスを着る。
ウエストがきつ目で胸がガバガバだ。セーラー服は元々胸元の開いているデザインらしくて酷く心もとない。
女の子ってこんな無防備なの着ているんだ、怖い筈なのに余計な事を考えている自分にはっとする。
「何だ、ぴったりじゃねーか 女モンのMサイズ着られるって何モンだお前」
懐中電灯を直で当てられるので目がチカチカする。ちらりと見えた光るものはアレは刃物だ。下手に刺激してはいけない。
どうする、こんな所で怪我なんてしたくない。さっき1人じゃないって言っていた。本当かな 嘘かな。
「荷物は其処に置いていけ、こっちに来い」促されるまま教室を出た。
こんな時、皆だったらどうするんだろう?田島君や阿部君だったら、きっと直ぐにやっつけちゃうんだろうな、オレ駄目駄目だ。
保健室まで連れて来られてオレは息を呑んだ。これは何?
>>932>>933 薄暗くした保健室の真ん中に女の子が2人後ろ手に縛られていた。
周りを取り囲む人・・・暗くて分らないけどおそらくは男性が5人位?が女の子を見下ろしていた。
「悪い、遅くなった 物音したと思ったら案の定だったよ」
「ほう、新入りかい クミちゃんもエミちゃんも 首ながーくしてお待ちかねなんだぜ」
オレは突き飛ばされて女の子の方に転がされた。クミちゃんとエミちゃんって・・・さっき聞いた名前だ。
5人はこちらの様子を伺いながらも何か打ち合わせを始めた。
涙声で女の子の1人がオレに囁いた。
「大丈夫? 怪我は?」
「だ 大丈夫だよ 2人は?」
「今の所アタシもクミも怪我はしていないの」
オレはそれを聞いて何故かとても落ち着いてきた。オレが2人を守らなきゃ。
「後ろ手見せて」
オレはあの5人から見えない様にして縛られている所を探った。
幸いにしてねじって拘束するタイプの簡単な結び方だったから2人分ともアッサリ解けた。
オレは彼女達2人に耳打ちする。
「あ あのね、多分今ならまだコンビニに野球部がいる お オレこいつ等止めるから2人で呼びに行って」
「でも」
「大丈夫だ よ 合図したら走ってね 暗いから気をつけて ね」
男たちは打ち合わせが終ったようだ。こちらに一斉に振り向く気配がした。
オレは脇にあった衝立を掴んで5人組に押し付けた。暗かったしイキナリだったから功を奏して5人は保健室の隅へと転がった。
「い今 逃げて 早く」
「な、テメエ」
オレは2人が外に出たのを確認した後、保健室の内鍵を閉めた。少しでも時間を稼ごうと思ったんだ。
女の子達の走る音が遠ざかる、やった!!
オレは手近にある物を投げつける。面白いように当たった。人に対して投げるなんてしたこと無かったから驚いた。
保健室のドアを開けて外に出た。女の子達とは逆に走る。突き当りの渡り廊下から外に逃げ出すつもりだった。
いつもの様に大きく1歩を踏み出したら膝に何かが絡んだ。そう、オレはスカートを履いていた事を忘れていた。
廊下の真ん中で大きく転んで、オレはアッサリ捕らえられた。