尚江「プ クク」

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222fusianasan
>>206

上り坂が近づいて漕ぐ足に力をこめるとサドルの後ろに三橋の手がかかるのを感じた。
「いいよ、こんくらいの坂平気だって」
「で、でも オ オレ、あべくん、のっ 役、たち たいっ」
そんなこと言って、お前顔真っ赤じゃないか。
息だって切れてるし、汗もすげー。

その時、坂の上から強く風が吹いた。
行く手を押し戻すような強い風だったが、汗や熱気を吹き飛ばし心地よい。
風は三橋の着ていたTシャツを大きく膨らませ、子供みたいな笑い声がオレの耳元をくすぐった。