阿部「風が語りかけます」

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688fusianasan
>>687

3はオレの傍らに膝をつき顎に手をかけて仰向かせると、殴られた痕をそっと撫でた。
「…だ、大丈夫、です」
恥ずかしい場面を目撃されて、オレは3の顔がまともに見られなかった。
クビ、かもしれない。
「ちょっとどいて下さい」
それとなく見物されていたオレたちの前に警官がやって来た。
「あ、もう逃げてしまったんですけど」
3が警官にそう言ってくれた。
「ちょっと言い合いになっただけみたいですよ」
オレも立ち上がって警官に頭を下げた。
「すみません。なんでもないです」
少しむっとしたような顔になった警官は、決まり文句みたいな注意をして行ってしまった。

「三橋君、送って行こうか?」
「いえ、平気です。一人で帰れます」
「そうか、気を付けてな。明日遅れるなよ」
「は、はい!」
3はまだオレを首にしないみたいだ。よかった。


おやすみはし