埋め投下
三番目の男
オレは3人の男たちに共有されている。
1人目はオレを縛ったり叩いたりするのが好きで、セックスはそのおまけみたいな感じだ。
2人目はオレをまるで小さな子供みたいに扱うのが好きだ。
ご飯を一口ずつ食べさせられたり、おむつを付けられたりする。
それなのに大人じゃないとしないセックスもするのはおかしいと思うんだけど、そんなことは
言わない。
3人目は本来の意味でのオレの所有者というか雇用主だけど、色めいた関係ではない。
ただの雑用係みたいなもので、お前は気が利かないとか仕事が遅いとかしょっちゅう叱られて
いる。
オレは3人と別々に知り合ったので、彼らはお互いに面識がない。
意識して隠していたわけじゃないが、だからと言ってぺらぺら喋ることでもないとオレは思っ
ていた。
だがなんのいたずらか、男たちがそれぞれ自分以外の存在を知らされる日が訪れた。
「なんの真似だよ、これは!」
殴られ道端に転がされ靴の踵で踏まれながら、オレは回らない頭でどう説明したらいいのか必
死に考えていた。
1(仮称)はオレのお腹をぐりぐり踏みながら、携帯をアスファルトに叩きつけた。
もちろんオレのだ。
携帯には2(仮称)からのメールが表示されている。
『レンちゃん、そろそろいっしょにあそぼうよ。こんどのにちようびはどうだい?』
「この尻軽め!お前なんか、お前なんか!」
そう言って1はますますオレを靴で踏みつける。
「ひぃぃぃぃっ!やめてっ…!」
「君、何してるんだ。やめないか!
「レンちゃん、レンちゃんじゃないか!アンタ、僕のレンちゃんになんてことするんだ!?」
1とオレ、それから3(仮称)と2の声が交錯する。
夜だけきれいなネオン輝く裏通りで、どことなく胡散臭い男女に避けられながらオレと3人の
男たちはそこだけ時間が止まったかのように固まっていた。