>>261 ここまで
(一行改行よろちくび)
「あの男さあ」
水谷の手首は、田島により締め上げられていた。
「ずーっと三橋につきまとってたんだ。いつもコッソリグラウンドの陰から見てた。試合も毎回来てたし、授業中も向かいのビルからずっと見てんだ。
帰り道もオレと別れるの待ち伏せてさあ。三橋は気付いてねーかもだけど」
三橋が顔を上げる。
涙やら鼻水やらでグシャグシャの顔を一瞥して、田島が続ける。
「あんな奴のために三橋が苦しむなんてオカシイだろ。三橋もオレらも野球出来なくなんだぞ」
辺りを沈黙が包む。
「死んだって許さねえ」
田島がポツリと呟いた声が、やけに耳に残った。