榛名「なあもう水島ネタやめてくれよ」

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武蔵野第一高校との試合を来週に控え、
オレは阿部君から榛名さんと会うなと言われていた。

にも関わらず、榛名さんはコトあるごとにオレの前に現われてガムをくれる。

「オッ オレと ハルナさんは・・・ 敵同士 で」
「だから? ガムくらいいいじゃんオレがやるって言ってんだし」
「で・・・ でも 阿部君に 怒られ・・・」
「タカヤ? アイツはカルシウムが足りてねェんだよ」

気がつけば、榛名さんはいつも車道側を歩いていて、オレの荷物を持ってくれる。
榛名さんだって投手なのに。

「あぁ? 気にすんなって。 オレ左利きだからよ」
「ハッ ハルナさんはなんで・・・っ!?」

たまらなくなって横断歩道の前で立ち止り、拳を握りしめたまま問いかける。

「なんでそんな・・・ オレなんかによくしてくれるんですか!?」
「え・・・」
「せ 正義の味方 ですか? 正義の味方気どり・・・なんですか!?」

ハッとしたときにはもう遅かった。酷いことを口走ってしまった。
傷つけただろうか。傷ついただろうな。
こんなにも優しい人をオレは傷つけて一体なにをやっているんだ。
激しい自己嫌悪で身動きが取れなくなる。
上げられない顔から熱い雫がこぼれ落ちようとしたその時・・・

「ちげーよ」
「・・・へ?」
「そんなんじゃねぇ。 オレは・・・ お前の味方気どりなんだよ」