叶「廉、今、幸せか?」

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897どうしようもなく好き

鬱・病み注意。そういうのが苦手な俺は見ないでくれ。




俺は三橋さんが大好きだ。過去形じゃなくて、今でも。
今日は兄ちゃんと三橋さんの結婚式で、俺の大好きな三橋さんは俺の目の前で兄ちゃんのものになってしまう。
なんでだろう。
なんで三橋さんのとなりにいるのは俺じゃないんだろう?
教えて、三橋さん。
三橋さん三橋さん三橋さん三橋さん三橋さん。

白いウェディングドレスを着た三橋さんは、キレイだった。兄ちゃんは三橋さんのことを、不細工だとか変な顔だとか言ってるけど、そんなことない。白い花吹雪の中で、はにかんだように照れ笑いを浮かべる三橋さんは本当にキレイだと思う。
白いドレスで、白いカラーのブーケ持って。白いモーニング着た兄ちゃんの隣で笑う、汚れの無い白い三橋さん。
白い手袋をした手から放たれたブーケは、それを取ろうとした女たちの手から弾かれて俺の足元に落ちた。
俺はそれを、気づかなかった振りをして踏みにじった。
白は、嫌いだ。


今頃、兄ちゃんは気が狂ったように三橋さんを探しているんだろうな。
そう思ったら笑いが止まらないよ。三橋さんは見つからないよ。だって、ここにいるから。
俺の目の前には、三橋さんが転がっている。着ていたドレスは泥に汚れて、胸から背中にかけて赤い縄で縛りつけられてるよ。
口に押し込んだタオルからくぐもった声が聞こえるけど、ごめんね三橋さん、何言ってるのか判らないよ。判りたいとも思わないけど。どうせあれでしょ?兄ちゃんに助けてっていってるでしょ?そんなの聞きたくないし。
見上げてくる三橋さんの目は、俺をにらみつけているように見える。意外に強いのかな。気にいらないな。攫うときに嗅がせたクスリ、まだ効いてるはずなのにね。愛のチカラってやつ?あはは。
…冗談じゃない。