―三橋が好き過ぎて死にそう―
近頃の書き込みは、もっぱらその一言だった。
寝ても覚めても三橋のことばかり考えて、正直自分でもキモいと思う。
ただの漫画のキャラに、どうしてここまで入れ込んでしまったのか。
そんなことはわからない。ただ、俺は三橋を愛していた。それだけだった。
「…くん、疲れが溜まっているなら休み取りなさい」
「すみません、課長」
日に日にやつれていく俺を、会社の連中も訝しんでいたことだろう。
フィリピーナに入れ込んでるとか、やくざに追われているとか、よくない噂が立っていたことも知っていた。
俺が三橋と出会う前に少し好意を抱いていた経理の女性も、心配そうな顔でこちらを見ている。
けれど、どうでもよかった。今の俺には、三橋以外のことなんかホントどうでもよかったんだ。
三橋はどうしてここにいなんだろう。
最新のアフタヌーンが出るたびに、西浦の奴ら… 特に阿部に嫉妬した。
俺だって三橋に触れたいのに、言葉を交わしたいのに、メールを送りたいのに、
それが全部出来る位置にいながら三橋を怯えさせてばかりのアイツに腹が立った。
俺だったらこうしてやるのに。俺だったらああしてやるのに。
そんなことばかり考えては、叶わぬ現実に虚しさを覚える。
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