阿部「休日は 三橋の寝顔を 見ていたい」

このエントリーをはてなブックマークに追加
76fusianasan
>>http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1202659980/333

夢みたいだ、なあ。
クリームピンクの天井を見上げて思う。夢、見てるみたい だ。
視界に映り込む、ゆらゆら揺れる生白い自分の両脚と、冷えた踝を掴んで暖を与えるように擦る無骨であったかい手。前髪を触る、耳朶をムニムニ弄る硬い指先のくすぐったい感触。
「ふ、んぅ…んん〜…っ」
ぬるま湯に揺蕩っているみたいだ。気持ちよくて、たまらない。
甘ったれてむずかる幼児みたいな鼻声が漏れるたびに、ずっぷり深く股座に沈みこんだ腰を少しだけ揺らされる。ぬちゅ、と離れがたくペニスに絡みついた音と、ごわごわした硬い陰毛が尻臀をジリジリ擦る刺激に息を飲んだ。
焦れて、もっと刺激がほしいとも思うのに、ずっと手遊びみたいな愛撫をされてたい。
利き手の指先から足の指の股まで。身体が馴染むまで肌の上をじっくりと撫でて、最後に頬に触れる。
片手で包んだ頬っぺたをふにーっと引っ張って、きっとおもしろおかしい顔になってるだろうオレの顔を見下ろして笑う。それから、いつもちょっとだけ躊躇って「いい?」と聞いてくる。
よいです、って答えるのはなんか…なんか、アレだなあって。
思った、から…太いうなじを指でさぐって引き寄せた。自分から仕掛けるのに屈託は感じない。
むしろ、こんなに貴方が欲しいんですよって、伝わればいいと想いを込めて熱烈にブッチューっ!てかぶりつく。
息継ぎに合わせて結び合った下をほどくのが寂しかった。
苦しくてもいいから上も下も繋がって、そのままぐちゃぐちゃにしてほしかった。
「うあ、あ、あふっ、ああうっ!」
「ん、っは、はぁっ、は…っ」
喉に絡んだ低い唸り声が耳元で「みはし」とオレを呼ぶ。ゾクゾクする。
耳の中を伝って脳髄まで犯される気分だ。名前を呼ばれて、優越感が膨らんだ。同時に自己嫌悪もふくれあがった。
ごめんなさい。引っ張り込んで、引きずり込んで、ごめんなさい。女の人が好きなんだろうなって、わかってるけど、オレとは違う嗜好の人だってわかってるけど、手放せない。
名前、呼んでくれて嬉しい。女の代わりなんかじゃなくて、ちゃんと「三橋」を…オレを抱いてくれてる。それだけでもうイッちゃいそうなんです。
心の中でだけは殊勝ぶって謝り倒しながら、それでも卑しいオレは何も言わずにひたすら和さんを貪った。
激しく揺さ振られてガクンと首が枕から落ちる。
横倒しにぐるりと回った視界に、ピンクピンクした部屋とは不似合いな汚れたスポーツバックと鞄からはみ出た参考書が見えた。
オレにつられるようにして視線を廻らせた和さんの動きが止まる。繋いだ手が冷えた気がした。

「よそみ、だめ だよ」

駄目。まだ、いい人に戻らない で。
和さんの頬に片手をのばした。ついさっき、オレにそうしてくれたように、真似て包み込む。ごつごつした肉刺と胼胝だらけの手に触られるの嫌かな、とチラッと思ったけど、そうせずにはおられなかった。
全然オレとは違う頬骨の高い面差しに過ぎった理性を、払い落としてしまいたかった。