>>594わっほいわっほいいいいい
前回のはwikiって
阿部君に計算してもらったら、もう4万円を超えていることが分かった。今日出勤して、これくらいお給料が貰えれば余裕でグローブが買えるので、オレは着替えを終えてから店長にその事を話した。
「三橋君はコアなファンが付いてたからもったいないなあ」と残念がってくれたけど、コアなファンって…それ、ただの変態っぽいおじさんばっかりじゃないかと心の中で反論する。もちろん口に出るのはどもった返事だったけれど。
「…す、すみ、ません」
今日の衣装は割と普通の女子高生の制服だった。茶色のブレザーとチェックのミニスカート、それからお約束のハイソックスだ。高校生の時はスニーカーばっかりだったから、ローファーはとても新鮮だった。
一緒に働いていたOLのお姉さんが「淋しくなるねー」と言って自分の持っていたキラキラしたピンをオレの頭につけてくれた。嬉しいような情けないような、複雑な心境になる。
今日のパンツの柄は白地にくまさんの絵が描いてあるもので、いつも以上にピッチピチだった。聞いたら、これは子供用のパンツらしく、そりゃ男のオレが穿いたら当たり前かというくらいくまさんが横に広がっていた。
鏡で見てみると恥ずかしいっていうよりも脱力感の方がすごい。
でもこのパンツが一番人気なんだそうだ。(店長談)
店が始まって30分もすると席は全て埋まってしまった。みんな一人で来て、思い思いのスタイルでパンチラを堪能している。オレはお客さんに言われるままにオーダーを取って、なるべく感情を殺しながら仕事をこなしていく。
最後だから失敗はしたくない。それに、嫌がる顔をすると、余計にひどい注文をつけられたりするんだ。
鼻がかゆいからお前の尻で掻いてくれって言われた時は本当に泣きたくなった。お尻で掻くって…意味がわかんない。
だからなるべく恥ずかしがらないようにして、無表情で定点カメラを跨いで、高い棚に置いてあるストローを取る。
夜7時を過ぎた頃、常連さんがやってきた。少し小太りで、前に38歳だと言っていた。チェックのシャツはちゃんとジーンズの中に入れていて、でっかいリュックには何が入っているか分からないけど、いつも大切そうに持ってくる。
ちょっと汗臭いけど、むりやり触ってこないし、本当に見るだけのお客さんだからオレはいつも安心して注文を聞きにいける。
お店の決まりで、オーダーを取るときはお客さんに顔を近づけて聞くことになっている。
オレはお尻を突き出すような形で中腰(10巻6回裏の打席に立っているあれを参照)になって「な、なに、にしますか?」と控えめに聞く。
すると常連さんは10種類あるメニューを全部、と小さく早口で呟いた。
「ぜ、んぶ…ですか?」
「全部、持ってきて」
はっきり言ってこのお店はコーヒー一杯にしても1000円とか、すっごく高い。もちろんそこにはパンチラ料なるものが含まれているからなんだけど、全部となると3万円を超えてしまう。
オレは何度もお客さんに確かめて、店長に伝える。
「あ、あの…メニューの、全部って言われた、んですけど………」
「ああ、とうとうきたね。三橋君、一日でメニューを制覇されたお客様には裏メニューをお渡しすることになってるんだ」
「う、うら、めにゅー……」