三橋「これが燃えるゴミこれは燃えないゴミ、だ」

このエントリーをはてなブックマークに追加
「みはしぃー部屋今晩中に片しとけよー! 明日は朝から暇ねえんだからな!」
ごそごそとタンスの奥に頭を突っ込んでいたら阿部君の声がリビングの方から聞こえてきた。
頭を抜いて扉からリビングを覗いて見ると阿部君は台所の食器類を片しにかかってた。
もしかしてもう終わったのかなって思って隣にある阿部君の部屋を覗いてみる。
そこは綺麗に片付いていて元あった部屋の雰囲気の名残は一切なくなっていた。
それに反してオレの部屋といったら半端に中身の埋まったダンボールばっかり。
綺麗に詰めていかないと出す時も大変だから色々考えてるつもりなんだけどなかなかうまくいかない。
「これが燃えるゴミこれは燃えないゴミ、だ」
掃除はまめにしてたつもりだけどそれでもやっぱり汚いところはたくさんある。
この機会に不要品も処分しようってことでゴミもたくさん出た。
ここの区域はゴミの分別が細かいとこだからそこもちゃんとしなくちゃならない。
「って、あ!」
ちょっと高いところに置いてあったグローブをとろうとした時だった。
足元に転がったままだったガムテープに引っ掛かってバランスが崩れる。
反射的に掴んだ場所が半端に詰まれたダンボールの山で、そのまま――。
うわあって思った時にはもう遅かった。
いっせいに色んなものが崩れて、落ちてきて、オレの頭にぶつかって、そんでお尻も床にぶつかった。
「おい、ってなんだよこれ、おい三橋!」
「う、ぐぐ……」
ダンボールの散らばった中身に埋もれたオレを見て阿部君が溜息を吐いた。
「お前は粗大ゴミ」
自分の部屋なのに引っ張り出されてそのままリビングにぽいされてしまう。
もう半分くらいこっちも片付いてたけどソファーとかテレビのあたりはまだそのまんまだった。
「オレがやるから三橋はテレビでも見てれば」
言い返せずにあうあうとなるオレの目の前で、ぱたんと扉が音を立てて閉まった。