阿部「荒れ果てた穴に、太いホースで水をまく」

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549fusianasan
三橋缶

翌日も雨が降っていたので今日は家でまったり過ごすことにした。
昼頃、DVDを借りにレンと連れ立って近くのビデオ屋に向かう。
俺たちと同じことを考える輩が多いらしく新作が軒並み貸し出し中だったので懐かしのアニメを1巻から観直すことにする。藤子不二雄はいつだって俺を裏切らない。
「レンも何か借りたいの持ってきなよ」
AとFでしばし迷いながらレンに促すと「い、いいの?」とぱっと明るい声をだした。てっきり俺に遠慮して何でもいいですとか言い出すと思っていたのに少し意外だった。
レンが持ってきたDVDは一番最初の遊戯王だった。
「さ、最初のずっと観たいなって思ってた、んだ」
ニコニコしながら差し出すレンは16歳という設定年齢からすると幼稚すぎるんじゃないだろうか、と思ったけれどすごく嬉しそうなので俺の頬も緩んだ。

注文したデリバリーピザを頬張りながらDVDを鑑賞する。
薄暗くした部屋の中で真剣に画面に見入るレンの肩が遊戯がカードを繰り出すたびに反射する。
エフェクトに合わせて光る横顔や首筋が、妙に色っぽく華奢に感じた。
気付いたら肩を抱いていた。

どう見てもレンは小僧だけど美女缶から出てきたんだから、そういう目的で作られてるってことだよな。だから俺がこうしているのもしょうがない。レンがそうさせているんだろう。

急に擦り寄った俺に、画面に集中していたレンは最初気が付いていなかったが、顔を寄せ押し倒すとひどく怯えた表情に変った。
「…な、なんで」
拒絶されむしろ戸惑ってしまう。お前はそういう目的で作られてるんだろう?
俺だけのミハシレン16歳なんだろう?
レンの反応などお構いなしでシャツを捲り唇を押し当てる。生白く頼りない胸板は唇にべたりと吸い付く。若干汗ばんで塩っ辛かった。
「っ、やっ、や だっ!」
「ダメッ、だ! オ、オレ、そ、そんなんじゃない よ」