阿部「荒れ果てた穴に、太いホースで水をまく」

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122最近の少女漫画ってすごい
「暇なら少女漫画読むか?」
「あ、ありがと」
俺と三橋は教室にいる。
田島と泉は別のクラスに、浜田な去年のクラスの奴に呼ばれて出て行った。
試合で三橋が有名になったからといって、三橋は社交的ではない。
野球部と応援団以外で話すのは俺くらいだ。
「女子から借りたんだが回し読みしていいってよ」
「オレ、少女漫画なんて、昔、ルリの読んだくらい、だ」
ルリって確かいとこの子だっけ?
その子が読んでた少女漫画とは、ちょっと違うかもよ。
ペラペラとページをめくる三橋。
まだ俺のお目当ての漫画には辿りついていないようだ。
「少女漫画って、面白い、ね」
「三橋は少年漫画とかも読まなそうだなぁ」
時々俺の顔を見て、話しかけてくる。
どうやら退屈ではないか窺っているようだ。
別に退屈じゃないぜ。
「う、お!」
ほら、来た。
「変な声上げてどうした?」
「あ、う……へ、変な漫画、が」
顔を赤くして、困ったように俺を見た。
その表情、たまんねぇ。
「最近の少女漫画ってすごい。こんなのも、あるん、だ……」
もじもじとしだす三橋。
おいおい、まさか……