阿部「犬ってバック(後ろ歩き)できないんだってな」

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244三橋中指痛いから慰めて三橋
利き腕を怪我してしまった。
骨は折れ、手を突いた際に中指を切った。
指を曲げると傷口からなんか肉っぽいのが出てくる。
いや、たぶん肉なんだろうけど。

仕事も休むことになるし、利き腕が使えないんじゃかなり不便だ。
そう言ったら、同僚の三橋さんが、息子さんに手伝いをさせると言ってきた。
三橋さんとは同じ職場で仲が良くて、よく息子さんの話をする親バカなお母さんという感じだ。
部活が終わる九時過ぎからというのは少々遅い気がしたが……
だが身の回りのことをしてくれるのは助かる。
俺は三橋さんの申し出を受けることにした。

「三橋、廉、です」
来たのは、なんともまぁ頼りなさそうなガキだった。
けど三橋さんの息子さんだからむげにもできず、とりあえず招き入れる。
「とりあえずテキトーに座って。何か出すよ」
「で、でも、オレ……手伝い、に、来ました」
「そんな、ほんとはめんどくさいだろ? 部活終わりで疲れてるだろうしさ」
まずは一休みしてくれや。
俺は怪我する前に買い置きしていたペットのお茶を冷蔵庫から取り出す。
棚の菓子を取ろうと動く片手を伸ばすと、「オレがやります」と言ってくれた。
頼りなさそうだが、意外と好青年だな。