田島「三橋、お前このチーム スキだろ」

このエントリーをはてなブックマークに追加
393冷たい部屋
700スレおめでとう
666スレ用に考えていたけど間に合わなかった話
元ネタはラヴクラフトの冷気
※ホラー注意    

(レスごとに一行改行でお願いします)
大学生になってから初めての夏休み、オレはおじさんの別荘の管理という名目で、ある避暑地
に1人で来ていた。
おじさんの一家は長期の海外旅行に出掛けていて、こっちに来るのは約二週間後だ。
オレはそれまでの間ここを好きに使っていてもいいけれど、掃除や草刈りや日用品の買出しな
んかをして、おじさんたちが来たらすぐ使えるように準備をしておかなければならない。
多くはないけどバイト料も出るし、誰もいないところで考え事をしたかったオレにとっては結
構おいしい話だった。

朝は6時半に起き、軽くストレッチしてから別荘の周りを2キロくらいランニングする。
ずっと野球部でキツい練習を続けていたので、朝起きて走るのは体にしみ込んだ習慣みたいな
ものだし、むしろ何か運動しないと調子が悪い。
高原の避暑地だって日中は暑いけど、朝の早い時間は風がひんやりして本当に気持ちいい。
走っている最中、犬を散歩させている人に出会うとオレはその度に一瞬固まってしまう。
高校時代に大分改善されたとはいえ、基本的にオレは犬が苦手だ。
今のところ出会うのは、土地柄のせいかおっとりして躾のいい犬ばかりなので助かる。
ランニング中に何度か顔を合わせて簡単な挨拶だけするようになった人と目礼を交わし、連れ
ている犬から目を離さないようにして横を走り抜ける。
追いかけてくるはずなんてないのに、オレの足は勝手にスピードを上げてしまう。
大学生になってもオレは全然成長できていない。
まわりのみんなはどんどん大人になっていくのに、オレはダメなまま年だけを重ねていきそう
な気がする。
オレの目下の悩みは幼馴染みの修ちゃんのことだ。
それがここに来た理由でもあるんだけど、日々の仕事にかまけてつい後回しにしてしまってい
る。
そろそろ結論を出して返事をしなければならないとわかってはいるのだけど──。