イメクラ嬢三橋
このピョアっぷり、どうよ
あまり広くない…というか、ワンルームの部屋に男二人が入るとどうも狭苦しい雰囲気になる。しかも荷物はまだ開梱していないため、大きなスーツケースとビジネスバッグやお土産の袋が放置されたままで、さらに狭く感じる。
「ごめんな、ちょっとちらかってるけど」
俺は一言言って、とりあえず二人座れるだけのスペースを作る。男の一人暮しだ。うまい具合に収納されているわけでもなく、スーツやワイシャツはソファに置いたままで、唯一片付いているのは自炊をしているためにやけに器材が充実したキッチンだけだ。
レンはきょろきょろと落ちつきなく視線をめぐらせてから、ソファの下に座った。見ればちゃんと正座をしている。育ちがいいのか、親の教育がいいのか。とにかくそういうギャップも俺の心をくすぐる。
借りてきた猫のようにちらちらと部屋の中や俺の顔を見て、また赤くなって俯いたりする。
くっそう!これが女の子だったらすぐに押し倒してあれこれ…。しかしレンはあんな職業をしていたとは言え成人した男だ。普通の格好をしていれば女に見えることはない。むしろ出会ったころの頼りなさが抜けて、黙って無表情でいれば割とイケメンなんじゃないかと思う。
「何か飲むか?」
「いい、いい デス。あ、あの、急に、来ちゃって、す、すみません」
レンはちょっと目を伏せて、また顔を上げた。何かを決意したように大きな猫目をしっかりと開けている。
蛍光灯の下だと色の白さが際立って、俺はぶしつけにレンの顔を見てしまった。下唇がぽってりとふくらんでいて、小さなほくろがあった。なんというエロい唇だ。あれで何度も愚息をかわいがってもらった記憶がよみがえり、俺は柄にもなく赤くなってしまう。
あのテクニックを持つ嬢にはそうそう出会えないと思う。
小さめの耳が真っ赤になっている。レンも緊張、しているんだろうか。
時間だけが過ぎていく。何度も口を開けて何かを話そうとするが、その度にまた俯いてしまう。俺はそんなレンを見て、息を飲んだり手を伸ばしかけたり。
まるで付き合い始めた中学生同士の放課後じゃないか。
居たたまれなくなった俺はたまらず立ちあがって財布を手に取ると、玄関で靴を出す。
「何か買ってくるよ、その間に整理してから話してくれればいいから」
と後ろ背で話している途中で背中に衝撃があった。レンが飛びついてきたのだ。
「お、俺さん…っ」
小さな声だったが、レンの声は明らかに震えていた。俺の足はまるでコンクリートと繋がってしまったかのように動かなくなってしまった。
「俺さんが、い、いなくなって、すごくさびしくて、オレ、オレ、会えないのが、すごく、つらくて」
これは営業なのか。いや、レンはもう引退している。俺にそんなことを言っても意味がないじゃないか。
小刻み投下ですまんこ
帰ってきたら続き…