「なんで約束守らねーの?」
田島君の声が聞こえる。涙がどうしてもどうしても止まらないので田島君の姿は良く見えない。
お尻がすごく冷たい。田島君がいいって言うまでズボンもパンツも穿いてはいけない決まりになっているので仕方がない。トイレの床に直接座っているので冷たさが直に伝わる。
「ごめ、ごめん、ごめんな、さい」
「悪いと思ってんの?」
田島君の口調は教室で泉君やハマちゃんとふざけているときと変らない。だからオレは最初田島君がふざけてオレをからかっているのかと思ったんだ。
「もーいいや、ケツ穴開けよ」
「え」
「くぱぁって、できんだろ」
「や、…」
お尻を丸出しにしている今だってすごく恥かしくって必死の思いだった。お腹をぎゅっとつままれたみたいに痛くなる。身体ががたがた震えてくる。
嫌だよ。オレいやだ。……なんでだ、田島君。
「じゅー、きゅー、はち、なな」
田島君が楽しそうに手を叩きながらカウントダウンをはじめた。オレの脈がドクドク早まる。
こわいこわいこわいこわいこわい……
オレが何もしないままでいたらどうなるんだろう。こわい。