518 :
逃避行:
※テンション高いとこに割り込み失礼
※ホテル入ったとこから
(レスごとに改行をお願いします)
中に入ると室内は想像していた以上に広かった。
玄関の明かりだけで部屋の中は豆電球のみが灯り、薄暗いままだ。
高級そうなソファの前には低いガラステーブルが置かれ、
その上にはテレビのリモコンと、カラオケのリモコン。
壁に掛かった大型の液晶テレビはどこか海外の海の映像を映し出し、ゆったりとした音楽が流れている。
そのテレビの横にはマイクが2本差し込まれ、分厚い歌本が3冊。
部屋の隅には旧型ではあるがパソコンが設置してある。
一番目立つベッドはダブルサイズひとつきり。
ベッドヘッドにはデジタル時計とスイッチが並んでいる。適当に操作すると部屋の照明が一斉に明るくなった。
部屋とは区切られ、3方を鏡に囲まれた洗面所。
楕円の広い浴槽にテレビつきの風呂場。
小さなクローゼットに冷蔵庫、電子レンジまで揃っている。
呆気にとられたように、三橋はキョロキョロと部屋を見て回った。
「阿部君、ここって…」
「ラブホってやつ、だな」
「ラ、ラブ……!!」
ボンと音を立てそうなほど三橋が真っ赤になる。
荷物を適当にソファに放り投げ、テレビのリモコンを手に取ってチャンネルを切り替える。
押した番号と記憶しているチャンネルが合わず、NHKに合わせるのにいくつかボタンを押し直した。
ざっと見たところニュースらしきものは放送されていないのを確認して電源を切る。
それから部屋の入り口に設置された機械を見た。
このホテルには自動会計システムが備わっている。
これなら出るときも人に会わなくて済む。
当てずっぽうに飛び込んだが、部屋のグレードといい、なかなか良い場所を引き当てた。
阿部は満足して三橋を促し洗面所で手を洗い、よく洗ったコップで何度もうがいをした。