阿部「燃えないゴミ出すか」

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390オレオ君
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1210526395/209
※鬱注意

俺は三橋を信頼していた。三橋だけは世界でただ一人俺を分かってくれる奴だと信じていた。
それがあんなことをされるなんて思ってもみなかった。
昨日の竹箒で俺の顔にはボコボコと穴が開いている。擦り傷でかさぶたも出来た。
痛みは引いたものの我ながら酷い顔だと思う。俺はいつも以上に下を向いて登校した。
下駄箱で靴を履き替えていると、隣に誰か来た。
「……三橋!」
思わず声が出てしまう。三橋は俺のほうを見止めるとハッとなってキョロキョロと辺りを見回し、
それから意を決したように、「お、はよう!」と挨拶してきた。
思わず俺も「おはよ」と挨拶を返してしまう。すると三橋はもじもじと恥ずかしそうにしながら笑った。
その顔が昨日一瞬見せたあの顔と同じだった。何の邪気も無い笑顔。
昨日のことは夢だったんじゃないかと思える。そうだ、きっとそうだ。俺は悪い夢を見たんだ。
俺に挨拶をしてくれる三橋があんなことをするわけがない。だって今だって俺に話しかけてくれたじゃないか。
「三橋…」
もう少し、挨拶だけじゃなく何か話がしたい。そう思って口を開いたところで、三橋が笑ったまま言った。
「顔、穴だらけ、だけど、元がクレーターだから、目立たないね」
最後にウヒッとへんな笑いまでつけた。
頭にざっと血が上る。誰のせいで穴が開いたんだっけ?三橋だ。今目の前にいる三橋だ。昨日焼却場でやられた。
竹箒を顔に押し付けられた上に蹴られた。踏みつけられるようにして蹴られたんだった。
上履きに履き替えた三橋は緩慢な動作で教室のほうへと歩きかけている。俺は三橋のほうに向かって突進した。
運動部のくせに細い三橋は、倍の体重の俺に体当たりされたらひとたまりもない。もんどりうって倒れるだろう。
そのはずだった。