阿部「三橋が淫乱だから毎日抱いちまうよ」

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201オレオ君
暗くて卑屈、加えて気弱、マイナス思考。
協調性はゼロで空気は読めない。いてもいなくても変わらない、そんなつまらない存在。
俺に対する周りの評価は大体こんなものだ。
入学当初はそれでも話しかけてくれる人がいたものの最近では誰も近寄らない。
存在自体が無視されている。というか認識されていない。
自分がダメな人間だということは小学校に上がる前から薄々感じていたので今更気にしない。
このまま空気のまま、何事も無く卒業できればいい。そう思っていた。

そんな俺の考えが変わったのは、野球部の試合を見に行ってからだ。
同じクラスの連中が出るからクラスの殆どが見に行くことになり、俺も野球部の応援団長という人に誘われた。
対戦するのは去年の優勝校。
俺にまで声をかけてくるなんてよっぽど観客数を増やしたいんだろう。野球になんか興味なくたってお構い無しだ。
けれど、久しぶりに人に声をかけられたことに俺も少し浮かれたんだと思う。
話しかけるときも他の連中と同じように気安く話してくれたことも、ちょっと嬉しかった。
ぞろぞろと競技場に向かうクラスの連中の一番後ろをこそこそとついて行った。
殿を務めてやるんだと、心で虚勢を張りながら。
競技場は思いがけない熱気に包まれていて驚いた。
プロ野球の中継はよく見ていたけれど、高校の、しかも地方の大会があれほどの盛り上がりを見せるとは思わなかった。
試合はうちの学校が先制するという思わぬ展開で、一度は逆転されるもののうちのクラスの4番打者ヒットで逆転、
最終回の裏で守りきり、勝利を飾った。
俺はいつの間にか応援団の必死のエールに合わせて手を叩き、落ちてくる雨も気にせず夢中で応援していた。