>>85 レンが甲高い声を挙げた。
「ごめーん、大丈夫か?」
三橋が振り返る。
「だい、じょぶ、です」
目は釣り目なのに、眉が八の字でなんかいつも怒られるのを待ってる子供みたいな顔だ。
これを庇護欲をそそられると取るか、虐待心を煽られると取るか微妙なところだ。
レンを注文する人は優しい人が多いと良いな、と頭の片隅でぼんやり思う。
「そっか。じゃあ、こっち向いて」
「う」
成分が染み渡るまで30分、性器のチェックをするので、それが容易な姿勢を取らせる。
レンは背中を湯船に預け、尻を俺の膝の上に乗せ、股を開いて両足を湯船の外に出す。
湯の中で軽く握るとレンの性器はすぐ様、潜望鏡のように湯の外に先端を覗かせる。
「あや!」
「大丈夫、これから、気持ちよくなるからな」
俺が言うと、レンはコクコクと頭を勢いよく振る。
「そ、言えば、だれ?」
「ん?」
誰って誰の事訊いてんの?
俺が頭にハテナマークを盛大に出していると、レンは俺の手を取った。
「これ、手。誰の手?」
「誰のって俺の……あ!俺か。うん、俺の名前は鈴木。
鈴木イチロウ。鈴木と呼べばいい。
ちなみに親方は佐藤エイサクだ。親方は親方って呼ぶんだぞ」
慌てて早口で自己紹介すると、レンの頭の中は確実に情報過多になってしまったらしく、キョドる。
過呼吸になる掛かるほど息が乱れている。うーん、こんな所でキョドられても。
どう、どうと、俺は三橋の太腿を撫でて落ち着かせる。
「今言った事は忘れろ。俺は鈴木、だ」
「すずき」
目をパチパチと瞬きさせて、息が普通になる。
「そう、分かった?」
「ウン、オレ、わかったよ」