ドアラ「ドアラ☆チックチック」

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746西浦コンビニに強盗が入った
>>640

「あ、あべくん、オレ、は」
三橋がなにか喋ろうとするのをオレは手を振り上げることで静止させた。
ひっと喉を鳴らして三橋が悲鳴をあげる。
振り下ろさなくても、そういうポーズをするだけで三橋はもう、動きを止めてしまう。
お前がオレのこと好きだって、あの時言ってくれれば、それだけで良かったのに。
それか、嘘でもいい、オレのこと嫌いだって、気持ち悪いって、突き放してくれれば、せめて。
せめてこんな関係にはならなかったのかもしれない。
ほんとにオレが望んでることだけは一つも三橋は叶えてくれやしない。
考えれば考えるほど馬鹿馬鹿しい考えだ。
最悪だ。
三橋のせいにして。
オレが、やってるのに。
オレが、こうやって、三橋を痛めつけて、怯えさせているのに。
ぱあん、といつの間にか三橋の頬を張るような音がしていた。
見ると振り上げた手が知らない間に下ろされていて、三橋の反対側の頬も赤くなっていた。
真っ赤に腫れた頬を両手で包む。
「……なあ、三橋」
最後にもっかいだけ。
言ってみたい。
お前のことが好きなんだって。
好きだったとか、そんなんじゃなくて、今でも好きなんだって。
三橋、今オレが言ったら、信じてくれるだろうか。
笑って流さずに真剣に受け止めてくれるだろうか。
それともこれもただの言葉の暴力だって、そう受け取るだろうか。
言えない。
言えやしない。
言いたくない。
怯える三橋の目に映るオレはどんな姿をしているんだろう。
こんなに、こんなにも三橋に怯えているオレは、三橋の目にどんな風に映るのか。