>>854 「阿部くん…」
三橋はライフルを抱えなおす。
「阿部くん、オレのこと、好きって、嘘だったんだね…」
「三橋、お前がそう思うならそうなんだろうよ」
「………」
「でもオレの気持ちは変わらない。好きだ三橋」
三橋の頬を涙が伝う。
信じたい。もう一度、18.44メートル先で、いつも自分の投げる球を受けてくれた彼を。
でもどうすればいいのかもう三橋には分からなかった。
「ごめんね阿部くん…」
乾いた銃声がグラウンドに響く。
弾丸は阿部の構えたミットに寸分違わず吸い込まれていった。
「機関銃を持った三橋」《完》