父親が猟銃で鹿をしとめたときのような音が聞こえた直後、集落中に響くような叫び声を三橋は聞いた。
何事かと思い飛び起きる。どこか騒がしい声がする。
よりにもよって父も母も留守にしている日に何事だろうか。
窓の外を見ると、長の家のそばで家が燃えているようだった。
ぱーん。ぱーん。
竹が爆ぜる様な音の直後再び猟銃の音がした。
近づいてるような気がする。
玄関に近づき鍵を確認した。ちゃんと鍵はかかっている。
あってないような鍵だけど、ないよりはマシだろう。
再び叫び声。恐ろしくなって隠れるように屋根裏に上り、毛布をかぶった。
どれくらい経過しただろうか。
時折聞こえる叫び声や猟銃と思われる音はやんだりやまなかったりを繰り返している。
駐在さんはまだ来ないのだろうか。隣の村の瑠璃たちや両親は大丈夫だろうか。
直後だった。すぐ、そばで猟銃の音がした。
そして・・・ガンガンガンガンガン!ガンッ!!
三橋の家の扉を叩く音、そして扉が破られる音がした。
何か男が叫んでいる声がする。
ここなら大丈夫、ここなら大丈夫・・・そう思っていたけれど、無常にもそれの足音は三橋に近づいてくる。
やがて・・・すぐ目の前で男の声がした。
何を言っているのかはわからなかった。