三橋「文芸部に入部しました、三橋です」

このエントリーをはてなブックマークに追加
54
戦時ネタ注意

アフタ読んでたら阿部にいい思いさせるのが心底嫌になってきたぞ!



「だって阿部君、約束した…」
ああ。
もう何度こんな風に俺は三橋を泣かせたのだろう。
笑顔にしてやった数なんて数えるくらいなのにこっちは到底思い出せない。
全部時代のせいだ。
俺達を取り巻く時代のせいにしてしまいたい。
以前はもっと平和で穏やかだった気がするのに。
家だってこんな土臭いところなんかじゃなくてもっと…

あれ
俺は今何を


「うっう…」
三橋の嗚咽で戻される。今のはなんだったのだろうか。
そういえばこのごろ声が聞こえる回数が増えている気がする。
泣きやまない三橋に俺はとうとうしびれを聞かせて言った。

「分かった。俺も一緒に群馬行く。それならいいだろ」

すると三橋は今まで泣いてきたのがウソのようにパアっと顔を輝かせた。
バカなやつ。なんて単純。
俺の考えてることも知らないで。
そんな嬉しそうにニコニコ笑うなよ。

俺はまた三橋を泣かすんだろうなあ。