メタボ「三橋君!今の内にガソリン満タンにするぞ!」

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904逃避行
あと30分!!切羽詰りすぎてどうしたらいいのか…
※エロなしピョア


海沿いを走っていた列車はゆっくりと内部へと進み、窓の外に広がるのは山と畑ばかりになる。
山の斜面に段々と連なる茶畑に三橋はほっとため息をついた。
「やっぱり、畑のほうが、落ち着く、ね」
「そうだな」
普段から囲まれているため、緑色と土色の風景は見慣れたものだ。
青い海はやはり落ち着かない気持ちにさせていたのだろう。
どこか見覚えのある色合いは、
さらに遠くへと逃げる2人の罪悪感をほんの少し和らげさせた。
しかしこれは、何に対する罪だろうか。
両親は今頃心配で夜も眠れずにいるだろう。
ただでさえ人数がギリギリのチームからバッテリー2人が抜けては試合もままならない。
監督も困っているはずだ。
それに、自分たちに忠告を与えた顧問の教師にしても、頭ごなしに反対したわけではない。
今は立場を考えろと、チームと自分たちのことを思って嫌な役を買ってくれたのだ。
きっと今頃後悔しているに違いない。
判っている。
これが間違いだということは。
阿部も三橋も、ちゃんと判っているのだ。
それでもお互いのことしか見たくなかった。
他の大事なものを全て投げ打ってでも、お互いだけが必要なのだと、
その気持ちが何よりも正しいのだと気づいてしまったからだ。
これほど求め合える人間が他にいるだろうか。
若い2人にはこの先のことなど判らない。
ただ、今この瞬間感じていることだけが真実なのだ。