翼「チンバルサンバ！！」

前スレ945　　　※エロなし注意　　　　　　ここまで
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数日経ってわかったこと。
まさかとは思ったが、三橋は本当に俺を避けている。
時間を見計らってメシに誘っても「まだ食べたくない」と「もう食べた」のどちらかで、
俺の部屋に来ないのはもちろん、自分の部屋にも絶対入らせない。
あまりにも断られるので一度手を掴んで引っ張ってこようとしたら、汚いものにでも触れ
たように払いのけられた。
さすがの俺も唖然としたが、三橋は真っ青になってごめんなさいを１０回くらい繰り返し
た。
俺の頭の中が透けて見えたなんてことはないだろうが、疾しいところがあるせいで三橋に
文句も言えず、バイキン扱いかよと落ち込む。
俺が一体何をしたのかと問いただしたい。
思えばあの日から俺と三橋の間はおかしくなってしまった。
サービス精神が空回って自爆したのはお前じゃないのか？
だいたい俺が水に流すって言ってやったのに、阿部君はオレを馬鹿にしているだの、オレ
はダメピだの愚痴りやがって、なんて後ろ向きな奴なんだ。
やっちまってから後悔するんなら、やる前に気付けよって声を大にして言いたい。
…それとも、あれはもう済んだことでやっぱり俺が三橋をよこしまな目で見てるってわか
るから、避けられているのだろうか。いやいやあんなのはただの夢でちょっと溜まってた
から連想ゲーム的に思い出してしまっただけであって……。

俺は割と気持ちの切り替えが早い方だったんだが、今日はどうもだめだ。
今頭の中を占めている事柄を『保留中』と書いた引出しにしまい込みたい。
新鮮な空気が吸いたくなったので、外に出たついでに買い物をした。
薬局でドリンク剤を数本とペットショップでウサギのエサを買う。
ウサギの顔だってしばらく見ていない。
俺にはまったく懐いていないが動作が可愛いと思う。
ゆっくり近所をまわり、１時間ほどで帰るとかなり落ち着いたような気がした。
三橋の部屋のドアノブに袋をぶら下げ、ノックだけしてそのまま自分の部屋に入る。
ウサギのエサを見れば俺からだってわかるだろう。
─多分。