三橋「あっあっ、吸わない、でぇ」

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91たなごころ
ここまでwiki参照。gdgdでごめーんね
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その日は一日、みんな元気がなかった。
ていうか多分、すごくオレに気を遣ってくれていた。
雨のせいで練習が早めに切り上げられてしまったけど、それは本当によかった。
全部を忘れさせてくれる野球も、みんながいて成り立つものだから。
辛そうなみんなの顔を見ながら楽しく野球をするなんて、オレにはできなかった。

みんなに先に帰ってもらって、一人部室に残る。
阿部君には一人になるなって言われたけど、怖い目にあうかもしれないってよりも、みんなを嫌な気持ちにさせちゃうことのが怖くて。
阿部君は、頑として動かないオレに「もういい」とだけ言って部室を出ていった。
あんなに心配してくれてる阿部君の気持ちを、オレは踏みにじったんだ。
オレは、サイテーなやつだ。

狭い部室に、一人きり。
こうしていると、阿部君のロッカーを見てしまったときを思い出す。
あのときは混乱してよくわからなかったけど、どうしてアレは、消えちゃったんだろう。
見間違えじゃ、なかったと思う。
じゃあ、どこに?
鍵閉めは一番最後に残った人、開けるのは最初に来た人って決まってる。
あの日、部室の鍵を閉めたのはオレ。
次の日は、誰が開けたんだ?
そのとき、阿部君のロッカーは?

いくら考えても、オレの粗末な頭じゃ何も考えつかない。
わかるのは、誰かがオレたちを見張っていて、危害を加えてきているってこと。

優しい阿部君の、田島君の、みんなの顔が浮かぶ。
逃げてばかりじゃ、ダメなんだ。
オレだって、みんなを守りたい。

ひとつおおきく深呼吸をして、オレはポケットの中の携帯を握り締めた。