>>904から拝借
三橋といつもの帰り道を歩く。
道端に咲いていた花も、先日の雨でほとんど散ってしまった。
「桜、散っちゃった、ね…」
残念そうな声に隣を向くと、切ない顔で見上げている三橋の横顔があった。
「また来年になったら咲くだろ」
色を失ってしまった桜の木を見ながらそう言って、
三橋の肩を抱こうとしたけど、その手が止まってしまった。
三橋が肩を震わせながら俯いて泣いていたからだ。
「来年も……?」
か細い声が俺の耳に響く。
「来年も、俺くんと一緒に、桜、見れるの…?」
涙を大きな瞳いっぱいに溜めながら俺を見つめる三橋。
俺は、何も言ってやることができなかった。
肩を抱こうとした手はただ拳を握るだけ。
また一つ、桜の花びらが風に散って、俺と三橋の間にちらちらと舞っていった。