阿部「三橋、このレモン味のカキ氷うめーぞ」

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879この物語はフィクションです
>>865
3.
食事も片付けも終わってやることの無くなった俺らはトランプや視覚トレーニングのタイムアタックで暇を潰していた。
時計が9時を過ぎた頃だ。
「おい、三橋どこ行った?」
最初に気づいたのは阿部だった。
「さっきションベン行ったけどそういや遅せーな」
「どっかで雷にでもビビってんのか?」
田島が探してくる、と言って部屋を出て行き、阿部もその後に続く。
西広が散らばったカードを拾い集めながら呟いた。
「なんかここまでくると推理小説みたいだよね」
「おいおいやめてくれよ、そういう事言うと本当に何か」
起こりそうじゃないか、と言い終わる前に俺の声は別の声に遮られた。
「…おい!なんだよ今の!」
花井が部屋を飛び出していく。
あの声…いや、悲鳴は多分三橋だ。
残された俺と他の奴らも花井の後を追いかけた。
まさかこんな、紙の上で成り立つような異常が目の前で起こるなんてありえない。
頭の中が混乱していて他のことを考える余裕も無くて、三橋の他にもう一人いなくなっていた事に俺はかけらも気づいていなかった。