「エロイムエッサイムエロイムエッサイム!」
カーテンを閉じ暗くした自室で俺は唱えていた。断じて気が変になったとかそういうことじゃない。
「我は求め訴えたり!」
大きな画用紙に魔法陣を描きそれを床に敷いている。中央には鶏肉のレバーが乗った皿がある。
本当は新鮮な鶏肉の血が良かったのだがこのコンクリートジャングルでは手に入るわけもなく、よって代用品だ。不満が残るが仕方ない。
「いでよっ! 三橋廉っ!」
俺がいま行っていることはいわゆる召還魔法だ。裏の世界から裏の三橋を呼び出せるらしい。
小学校の中学年にもなって幼稚なことをと笑いたければ笑えばいい。この間、転入してきた三橋のことが俺は何だか気になっていた。
ならば普通にそいつに声をかければいいじゃないか。常人はそう思うだろう。
俺だって本当はそう思う。
だけどダメなんだ。キョドキョドおどおど恥かしそうにしている三橋と目をあわすことができない。
俺の視線は三橋をすっと通り抜けて、別の奴と全然違う話をしてしまうのだった。
昔のアニメでこういった魔法があったらしい。
『ほんとーに呼び出せるんだぜ。姉ちゃんが言ってた』
『ま、じ、でっ!』
『信じるか信じないかはあなたしだい』
『都市伝説かよっ!』
『ふるっ!』
俺だって本当に信じてるわけじゃない。そうだよ、こんなの、ただの……。
呪文を唱え終わったあとも魔方陣はしんとしている。
やっぱりただの都市伝説か。わかっていたこととはいえガッカリだ。
クソー! 俺村の姉ちゃんめっ! インチキっ!
悲しくなってしまうのを俺村の姉ちゃんへの怒りに矛先を向け俺はフーッと鼻息をついた。
……レバー冷蔵庫入れとかなきゃ。中央の皿に手を伸ばす。
カタッ、カタカタ
皿が揺れた気がする。地震か?
カタカタカタカカタ
揺れが大きくなった。レバーが皿からこぼれ俺の手の甲に乗った。
びちゃあとしたテクスチャーが気持ち悪い。
魔方陣の中央から閃光が走った。
な、なんだっ。まぶしい
目を開けていられない。俺は腕を顔の前にかざしていた。
揺れがおさまっていく。
「俺くん、俺くんっ」
目を開けた。
俺の前に素っ裸の三橋がいた。
「うわっ!」
「よ、呼び出してくれてありがと、ねっ!」
ニコニコはきはきしている。言い終わりぺこんと頭を下げた。
本当の三橋よりも快活だ。
それよりも呪文が成功したことに驚く。俺村の姉ちゃんワルグチ言ってごめんなさい。
ぷらんぷらん股間で揺れているちんぽこも気になる。同じ男とはいえ何だか恥かしい。
「こ、これっ!」
俺のズボンを穿かせてやろうと脱ぎかけたときだった。
ぺちゃぺちゃ音がして顔をあげると裏三橋が鶏レバーの血をぺろぺろ舐めていた。
妙にエロくて何だか異常で見てはいけないような光景に思える。
「おなか、こわす、」
ぞっと言いかけた俺の手をとった。
俺の手の甲を裏三橋の舌が這う。生暖かくぬめるようなぞわぞわした感触が俺のちんぽこを直撃する。
「や、やめろよ」
やっとの思いで言葉を搾り出すと裏三橋が「なんで?」とでも言いたげに首を傾げた。
666スレだと思って書いていた俺を早漏だと笑ったらいい