阿部「ちょっwwおまっwwパンツ見えてるパンツ!」
姿の見えない三橋を探して歩き回っていると、森の中に忘れられたような空き地があった。
公園の跡なのか、短い草がぽやぽやと生えたマウンドのように土が盛られた所がある。
探していた三橋が俺を見つけて走ってきた。
「お前、迷子になってんじゃねえよ」
三橋は謝りながらも、そのマウンドらしき場所が気に入ったのか球を投げたいと言う。
「投げたいって言ってもプレートねえし、やめとけよ」
「ちょっとだけ、ダメ、かな」
確かにどこかでキャッチボールしようと思って、ミットじゃなくグローブを持ってはいたが
さてどうしよう。
俺が迷っているうちに三橋はてけてけと盛り土の方に行ってすでに構えている。
「あべくん、はやくー」
しょうがねえなとグローブを取り出し、荷物を置いて三橋の相手をしに行った。
「いくよー」
三橋は高く足を上げて思いっきり投げてきた。
5〜6球受けて、もういいだろうと腰を上げる。
遠目にも三橋のがっかりした様子がうかがえた。
くるりと後ろを振り向き、地面になにか見つけたのか上体だけを屈める。
「!!」
俺は三橋の元に駆け寄った。
「ちょっwwおまっwwパンツ見えてるパンツ!」
「えっ?」
三橋は小首を傾げた。お前がやってもあんまり可愛くないっつの。
「ケツ破れてるぞ、ぱっくり」
「ええ〜」
普通のズボンだったのが災いして、足を開いた時破れてしまったらしい。
お母さんに怒られると小学生みたいにべそをかいている三橋の腰回りに
シャツを巻いてやりながら、俺はついくすくす笑ってしまった。
「阿部君、シャツありがとう…」
笑う俺を咎めるでもなく三橋がぽつんと言う。
前言撤回、お前は可愛いよ、三橋。
三橋に軽くウメボシをかまして、俺たちはみんなのところに戻った。