阿部「三橋やらせろもちろんおまえが金払え」

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510オレが何をした
寝る前に半端に投下を
<!一行あけてね>
「何でオレもなんだよっ!…」
朝のロードワークに励みながら田島が唇を尖らせ不満そうにぼやいた。いつも通り三橋に声をかけたところ、鬼にでもあったかのように真っ青な顔で震え逃げ出されたらしい。
状況が飲み込めずしばらく呆然とグラウンドに立ちすくんでいた田島の姿が再生される。
三橋に絶対の信頼を寄せられていると思っていたらしい田島にとってそれは青天の霹靂のようだ。
「くそーっ」乱暴に土を蹴りグラウンドのトラックを回っている。
当の三橋は浜田ら応援団と別メニューだ。
昨日のオレに引き続いてのことだったので周囲もこれはもしかして三橋の方に問題があるのではと、むしろ疑惑の目は三橋自身に向いていた。
「なんかしたんだろ〜」
かけられる茶々もオレのときと違って冗談混じりだ。それにしてもオレと田島への周囲の対応の差は何だろうかと考えてしまう。
「オレが三橋をいじめるわけないだろっ!」
田島が憮然と答えている。
ざまあみろ、と思いながら前を走る田島の背中に声をかけた。
「田島」
「阿部か、何だよ」
田島が嫌な顔で振り返る。
「お前、何か気付いたことないか」
「何がっ」
「三橋のことだよ」
「知らねーよ、オレは何もしてない」
仏頂面で昨日のオレと似たようなことを言う田島におかしくなった。
昨日のオレの心境がわかったか、と先を続ける。
「オレも三橋の豹変は意味わかんねーけど。オレと田島で共通することがひとつあるなって思ったんだ」