<!一行空けてね>
オレが三橋に何かしたと具体的に責められるのだったら、それは断じて違うと否定のし甲斐もあるけれど、
当の三橋はオレを見て怯えるばかりで肝心なことは何一つ言わない。
何だかよくわからないけど、ともかくオレが三橋を怯えさせるようなことをしたらしい、ということでは明確な否定が難しい。
アリバイの提出もままならず、オレにできることといえば『なんもしてねえ』と仏頂面を作るのみだ。
ただただオレの人柄や日頃の言動で周囲からの審判が下される。
疑いの眼差しでオレを見るチームメイトらに自分自身の人望の薄さに改めて気付かされ悲しくなった。
クソッ。何もかも三橋のせいだ。
だけど考えてみたら短気なオレは三橋を怒鳴りつけることが多い。
三橋をあそこまで怯えさせる決定的な何かを沖が言うみたいに無意識にしていたのかもしれないし、
今までの怒鳴りが蓄積されて今日になって恐怖が噴出したとかいう可能性だってあるかもしれない。
しだいに全くの潔白だと言い切る自信がなくなってきた。