尚江「えーい!全部脱がしちゃえ!(ポイポイ)」

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70たべたいくらい
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「やめて!違うんだ阿部君!目にゴミが入ったから取ってもらおうとしただけなんだ!」
阿部君の背中にしがみついて必死に訴える。
オレのとばっちりで修ちゃんにもしものことがあったらお詫びのしようがない。
阿部君はゆっくり振り向いた。
「…本当だな、嘘ついたってすぐわかるぞ」
「本当だよ、オレなんか相手にする人いない!」
オレは恐る恐る阿部君を見上げる。
もう豹の耳は引っ込んでいた。
茫然としてオレと阿部君を見ている修ちゃんに、阿部君は愛想よく話しかけた。
「三星学園の叶さんですよね?大分前ですけど、練習試合で一度お会いしました。俺阿部って言
 うんですけど、1年のとき転校しちゃったんで三橋と積もる話があるんですよ。悪いんだけど、
 今日はお引き取り願えないですかね?」
にこやかだけど、阿部君の目は笑っていない。
修ちゃんは阿部君の剣呑な雰囲気に怯んだのか、そそくさと帰り支度をした。
玄関まで送って行った修ちゃんは何か聞きたそうだったけど、結局何も言わないで帰った。
なんだかどっと疲れてはぁ…とため息をつく。
オレの後ろに立って見張っていた阿部君を改めてよく見ると、胸が一杯になった。
すごく大人っぽくなっていて、背も高い。
「本当に帰ってきてくれたんだ…」
「おう、18になったから規制が解けた」
「…ごめんね、阿部君、オレのせいで…」
「お前は何も悪くないよ。気にするな」
パタパタとスリッパの音がして素っ頓狂な声が上がる。
「アレー、どうしたの?ねえ、阿部君来てくれてビックリだね。お母さんそろそろ出かけるから
 あとよろしくね」
今度はお母さんを見送り、オレはふと気が付いた。
「…阿部君ちゃんと玄関から入ってきたんだ…」