うまい棒「ポキパサパキッ」

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933fusianasan
ゲロ部入部届

※ゲロ注意

「俺くん…、だ、だいじょう、ぶ?」
三橋の柔らかい手が俺の背中をゆっくり撫でてくれた。ありがたい。
出そうで出ないもどかしい違和感が喉の奥で突っかかって、半開きの口から唾液が垂れる。
己の姿に情けねえと思いながらも、カッコつける余力もなく深夜の公園の便器に顔を突っ込んでゼハゼハするので精一杯だ。
今日はゼミコンだった。
いつもは集まらない面子も集まって、しかも女の子もたくさん来たもんだから俺は調子に乗って飲みすぎてしまった。
フラフラになった俺は解散して三橋と一緒の帰り道、気分が悪くなって慌てて公園のトイレに駆け込んだ。
その挙句、いつもはクラスで俺が面倒を見てやってるはずの三橋に介抱されてる始末だ。もう一度言う。情けない。
クラスもゼミも一緒でしかもアパートも一緒と言う三橋に今まで俺は散々振り回され、いつもいつも説教垂れてた立場だってのに。
何ていうかこいつの世話にだけはなりたくなかったって言うか。
「三橋、先帰ってろって」
癪になった俺は、少し吐き気が引いた瞬間なんとか顔を上げて三橋に言った。
しち面倒くさいところだけ頑固な三橋はぶんぶん首を振って「か、帰らないよ!」と再び俺の背中に手を回そうとする。
三橋は酒が弱くて終始つまみをたんまり食ってオレンジジュースばかり飲んでいたもんだからちっとも酔っちゃいない。
なんてしゃらくさいヤツなんだ。同じ酔っ払い同士ならまだ気が軽いのに、俺ばっかりこんなんじゃ馬鹿みてえだろ。
「いーから、お前明日講義はえーだろ」と俺がもう一度三橋を追っ払おうとした瞬間、急に胃袋から何かがせりあがって来た。
やべえ、と思ったときには時既に遅く、気が付いた時には目の前にいた三橋の胸辺りに俺は口から吐き出た物を思いっきりぶっかけてしまっていた。
俺くん!俺くん!と三橋が泣きそうな声をあげて抱きしめながら俺の背中を撫でた。
そのおかげで、ますます三橋の服に俺のゲロが引っかかる。
三橋から離れようにも、しっかりと三橋が俺の服を掴んでいるもんだからヘロヘロの俺はそのまま三橋にゲロを掛け続ける。
ゲーゲーする俺にビックリして三橋の声が泣きそうに俺を呼ぶけど、答えてやれそうもないくらい吐き続けた。
苦しそうに嘔吐する俺にどうしていいかわからずオロオロする三橋の服にしがみ付く。吐きなれない俺は苦しくて苦しくて堪らなかった。