週一で行われるミーティングを終え、早々に部員達と別れた俺は、部屋でのんびりと寝転がりながら雑誌を読んでいた。
日頃の練習の疲れのせいか、少しだけウトウトしかける。
そんな時だった。携帯に三橋から着信があったのは。
…めずらしいな。普段はメールでさえ返信しなかったりするのに、電話だなんて。
一体なんだろうと携帯の通話ボタンを押すと、耳に切羽詰った三橋の声が飛び込んできた。
「もしもし?どうしたんだよ」
耳元でやけにざわざわと騒がしい音がする。電波状態が悪いんだろうか。
しかしその妙なざわつきが、三橋の乱れた呼吸だって気づいた時、俺は背中に冷たい汗が伝うのを感じた。
「三橋?おい、どうした!?」
『…べくん、あべくん、たすっ、けて…』
三橋は泣きすぎたのか、ヒックヒックとしゃくりあげていて息が苦しそうだ。
「助けてって、おい、どうした?家の人はいないのか?」
『だ、っれも、ヒクッ、いな、いいいいい、たすけ、あべくん』
電話越しの三橋の尋常でない様子に、すぐに行くから待ってろ!と言って携帯を切ると、俺はダッシュで家を飛び出した。
一体何があったんだ?不安に押し潰されそうになりながらも、猛スピードでチャリを漕ぐ。
三橋の家につくや、俺は呼び鈴も押さずに玄関を開けた。
「三橋!大丈夫か!?」
俺の大声を聞いて、二階からバタバタと足音が聞こえた。階段を走って下りてきた三橋を見て度肝を抜かれる。
三橋は涙で顔をびしょびしょに濡らして、未だしゃくりあげながらハァハァと喘いでいた。
全裸で。